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リハビリの世界の話を患者さんやそのご家族、またこれからリハビリに興味を持ちたいかたなど、リハビリの専門家ではないかたにも読んでいただけるようわかりやすいことばでブログにしてみました。趣味の話も少々。                    (旧タイトル・理学療法士板東蓮三郎の視点論点)

アメリカ人の良い習慣

 以前英語堪能のバイリンガルの女性の骨折後のリハビリを担当しました。
 横浜のインターナショナルスクールの学生時代、同級生と電車の中でおしゃべりをしていて、つい今まで日本語で会話をしていたのにわざと急に英語に切り替えてみたりして楽しんでいたそうです。(本当はそんなこと、私がしてみたかったです。私の英語のレベルはそこまでいっていません。)
 彼女はアメリカでも生活したことがあるのだそうですが、「絶対に日本のほうが暮らしやすい。」と話していたのが印象に残っています。

 日本の健康保険制度のようなものをアメリカでオバマ大統領が作ろうとしても、個人の権利主張が強いアメリカでは「どうして他人の病気のためにお金(健康保険料)を払わなくてはいけないのか?」という考えかたが根強く、健康保険制度のための法案(オバマ法案)をトランプ大統領は覆そうとしています。
 このような考えかたが健康保険制度創成期の日本にもあったらしいことが、NHKの大河ドラマ「いのち」の中の出演者のせりふにありました。
 健康保険制度はいま大きな赤字を生み出し国の財政は逼迫していますが、この制度のおかげで誰でも病気のときは安心して医療の恩恵に浴することができる日本は幸福です。アメリカではおちおち病気になれません。

 先日新聞の投書欄を読んでいると、アメリカ留学から帰ってきた若い女性の投書に目が止まりました。
 彼女もやはり、日本は安心で暮らしやすいと言っています。
 しかしアメリカでは知らない人でも目が合えばにこっとする習慣があるが、日本人は知らない人と目が合っても、にこりともせず無表情で、皆が怒って歩いているみたいだと感じたそうです。
 私がアメリカ本土やハワイを訪ねたときも確かにアメリカ人はフレンドリーで、慣れない私にはちょっとどっきりでした。
 こんな習慣は見習っていければいいのにと思いますが、せめて職場の中だけでもと目が合えば誰とでもできるだけにこにこするようにしています。
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年金生活の元検査技師

 西日本新聞に掲載された、年金が少ないため働きに出ているという69歳の男性の記事をネットのニュースで見かけました。

 このかたは現役時代は臨床検査技師だったそうです。
 定年後も4年間は給料が下がっても継続雇用で臨床検査技師として働いたのですが、退職後年金が少なく、介護のアルバイトを始めたものの腰の疲労骨折を起こしてかえって医療費がかかり、今は新聞配達、駅の駐輪場管理と公園の清掃 学校の戸締まりの3つのアルバイトを、日によっては同じ日に複数掛け持ちしながら、日曜日以外ほぼ毎日働いてやっと生活しているそうです。

 このかたの経歴で特に目を引かれたのは、大学を卒業後会社員になったものの辞めて、アルバイトをしていた時期が2年くらいあり、思い直して病院で働きながら夜学で勉強して検査技師の資格を取ったというところがが、私と酷似していることです。臨床検査技師と理学療法士が違うくらいです。

 そんな男性が定年退職後の生活に苦労されておられるのです。他人事ではありませんが、現役世代の負担が過重になってしまうので、安易に年金はもっと多くなければいけないとは言えません。悠々自適の生活など無縁なようです。
 我が国はこれからちょうど超高齢社会にに向かっていきます。
 理学療法士なら高齢者をお相手にするお仕事をさせていただけるかもしれません。
 定年になり給料が下がっても、パートやアルバイトとなっても自分自身が高齢者になっても、身体が動く限りは仕事を続けていくことになりそうです。

医師になった理学療法士

 薬剤師や看護師になった後、やはりどうしても医師になりたい、と高い志を持ち続け、勉強し直して医学部に行く人がいます。
 理学療法士にもそのような人がいるようで、雑誌などで見かけることがあります。

 私の理学療法士の養成校の1年先輩にも後に医師になった人がいます。
 その先輩のIさんとは、帰る方向が同じだったのでときどき電車で一緒になり、話をしました。
 理学療法士の養成校在学当時、Iさんはすでに柔道整復師の資格を持ち、夜間は私と同じ学校で理学療法士になるための勉強をする一方、昼間は病院に勤務し、(看護助手として?)手術室で働いていました。
 そこで整形外科医のおこなう手術をたびたびつぶさに見て、「あの手術なら自分のほうが上手にやれる。」と豪語していました。 
 学校を卒業後、どこでどうやったのか女医さんと結婚したということは聞いていたのですが、その後首都圏の私立の医大に入り、医師になりました。その大学病院にスタッフとして残り、外来も持っているような活動をしておられたようですが、最近は東京都下の病院の整形外科部長として腕を振るっておられるようです。
 昔お話しをしたときもとにかくはったりの効く精力的なかたで、柔道整復師から理学療法士、医師とステップアップされたさまも、彼ならやりそうだな、という感じがしました。
 そんな生き方があったのかと、憧憬の気持ちがわいてきました。 

政治家理学療法士

 現在国会議員になっている理学療法士は参議院に2名おります。リハビリの世界で起こってくる声を国に届けるのに、私たちの業界団体の同志が議員としていることはありがたいことです。

 先日インターネットのニュースで「26歳のモデルが大阪府議会議員の補欠選挙に立候補」という見出しに目が止まりました。
 イタリアの国会議員チチョリーナみたいな人が日本でも現れたのか、というスケベ心が起こったからです。
 読んでみると彼女は本業は理学療法士で、その傍らモデルとしての活動もされておられるのだそうで、医療現場で感じた問題点などを変えていけるような志をもたれ、立候補を表明されたのだそうです。
 ニュースになるには記事のライターや読者の目がどうしてもモデルのほうに行ってしまいますが、いろいろに目立って政策の実現に生かしてほしいものです。

お盆休み

 病院に勤務していたころ、お盆が近づくと患者さんから「病院のお盆休みはいつからいつまでですか?」と毎年のようによく聞かれました。
 開業の医院に休みがあるのだから病院も休みがあるのではないかと思ってしまうかたがいるようです。
 開業している医院では多くのところで「お盆休み」があるようですが、都会の公的病院でお盆に休むところはありません

 私の子供時代、両親は東北地方の父の郷里にお盆の帰省をする習慣がなく、鉄道や高速道路などの交通機関の帰省ラッシュとは無縁で過ごしました。
 学生時代にアルバイトをしていた建設関係の会社でお盆のお休みがあったものの、社会人となってからは会社員時代も、病院に勤めているときも、老人施設に移ってからも「お盆休み」の恩恵に浴したことがありません。
 お盆休みの習慣があるかたにとっては、家族皆で会いたい、親に会うのは当たり前、その時期に休まないと家族揃って顔を合わすことができない、という気持ちから帰省ラッシュを押しても故郷に帰ると考えるのでしょうが、親がお盆の帰省の習慣を持ち込まないでいてくれたお陰で(ただ貧しかったから帰省ができなかっただけなのですが)、帰省ラッシュを経験せずに済んでよかった、とほっとしています。

 先日、明日からお盆休みという日の夜から顔が痛くなってしまいました。風邪をひいたときにときどきおこる習慣性の蓄膿症(術後性嚢胞)です。
 いつも受診する耳鼻咽喉科はもうお休みでまだ休んでいます。この時期に開いている耳鼻科は非常に遠く、大きな病院に予約なしで長く待たされて高額の選定療養費を支払ってでも受診するほどの大きな病気でもなく、かといって頬には顔を上げていられないほどの痛みはあり、突然の有給休暇を1日とって症状が治まるまで市販薬をのんで横になっているしかありませんでした。
 開業医院など同じ業界が一斉にお盆休みに入るのはちょっと考えものです。

耳つぶれ

 テレビでボクシングやレスリング、相撲などの競技を見ていると、ときどき耳の形がつぶれた格闘家を見ることがあります。
 耳の中には骨はなく、柔らかい組織だけで形作られています。
 これらの競技の格闘家は顔を打たれたり、耳をマットや土俵等に押しつけられたりして耳に衝撃を受けているうちに、耳の柔らかい部分がつぶれた形に変形してしまうのです。

 老人施設の仕事をしていて格闘家と同じように耳の形がつぶれているお年寄りを見かけることがあります。
 女性の高齢者にも見られ、その人たちがかつて格闘技をやっていたのではなく、寝たきりで横向きに寝かされたことにより、耳が頭蓋骨と枕にはさまれて持続的につぶされてしまうことによるものです。
 寝たきりのかたは、布団と接する部分に体重がかかることにより、床ずれ(褥瘡)ができやすくなってしまいます。
 褥瘡を起こさせないために仰向けに寝たり右向きに寝たり左向きに寝たりと、寝る姿勢を時間によって周期的に変える「体位交換」が行われます。
 横向きに寝かされるとき、その大事な目的は腰部や背部に褥瘡を起こさせないこと、あるいはできてしまっている褥瘡をさらに悪化させないことなので、枕が当たる耳にはあまり注意が払われていません。
 本当は枕の形や材質、耳と枕の当たり具合まで配慮するのが完璧な介護なのかもしれませんが、もっと重要な腰背部の褥瘡対策が優先され、そこまで配慮することがなかなかできないようです。

おしゃれな杖は・・・

 先日朝日新聞の「元気のひけつ」というコーナーで「おしゃれな杖」が取り上げられていました。
 最近杖は、ちょっと足が疲れたときにもあると歩みが楽になるので、高齢者だけでなく幅広い年齢層の人たちが使うようになり、いろいろな人が使いやすいように、杖本体がカラフルな色や模様になっているものや、しゃれたデザインの持ち手のものが増え、いろいろな場面での使いかたを楽しめるよう1人で2~3本持っている人も珍しくないのだそうです。

 以前ここでも書いたことなのですが、持ち手がきゅっと曲がっておしゃれな形になっている杖を使えるのはやはり歩きに余裕がある人なのだと私は思います。
 持ち手がカーブしていると、カーブの外側が手のひらの狭い部位に集中的に当たるので、杖に体重をゆだねて長く歩くうちにだんだん手のひらが痛くなってきます。
 また人差し指から小指までの4本指は、カーブの内側に置かれるうちにそのカーブのために4本指が真ん中に集まるように力が入り続けるので、指と指の間がぶつかってやはり痛くなってきます。

 足の負担を減らすために杖に体重をあずけて長く歩くのであれば、持ち手はある程度太さがあって弾力のある素材のまっすぐに近い形のものか、人間工学的に手のひらの形を考慮した形のもの(この場合右手用と左手用は別のものになる)が私はお勧めです。