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リハビリの世界の話を患者さんやそのご家族、またこれからリハビリに興味を持ちたいかたなど、リハビリの専門家ではないかたにも読んでいただけるようわかりやすいことばでブログにしてみました。趣味の話も少々。                    (旧タイトル・理学療法士板東蓮三郎の視点論点)

見えないリード

 横浜の病院にかよっていたとき、毎朝最寄り駅から病院まで歩いていく途中にいつもほぼ同じ所ですれ違う、愛犬と散歩しているお兄さんがいました。ワンちゃんはたぶんシバに近い雑種です。
 お兄さんとワンちゃんの間にはリードはなく、「放し飼い」の状態での散歩でしたが、二人(正確には一人と一匹)の間には見えないリードがあるようでした。
 たまにはワンちゃんが何か興味のある物に引っかかって現れず、お兄さんが後ろを見て待っていると、後ろからワンちゃんが角を曲がってやってくるのが見え、お兄さんは安心して前に歩き出していました。
 一度だけ、ワンちゃんだけが先に現れお兄さんが来ないときがあったのですが、上記の場面とは逆にワンちゃんが後ろを見て待っているとお兄さんが角を曲がってやってくるのが見え、その途端にワンちゃんは安心して前に歩き出して行くのを見たときがあり、本当に二人の間には見えないリードがあるようで可笑しくなってしまいました。
 数年後この散歩はワンちゃんをバギーに乗せての散歩になり、そのうちに散歩しているところに出会えなくなってしまいました。
 毎朝のすれ違う楽しみがなくなり、さみしくなりました。
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無料電気治療

 マッサージ師の知人から聞いた話です。
 最近商店街の貸しスペース等を利用して、「無料で電気治療を受けてみませんか?」などと呼びかけているところを見かけることがあります。
「腰が痛いからちょっと試しに」と軽い気持ちでお願いすることにし、問診票に痛いところとして「腰」に丸をつけ、名前と連絡先を記入して、電気をかけてもらうと、確かに気持ちがいい。そのことを伝えると、「そうでしょう。この機械はとてもよく効くんですよ。ここでずっとやっていますからいつでもまたお越しください。」などと言ってもらい、とてもいい気分でその日は帰宅します。
 2回目以降も「どうですか。腰の痛みが和らいだでしょう。この機械はとても効きますから続けていきましょう。」などと言われ、楽しい気分でまた電気をかけてもらいます。
 これを数回繰り返したある日、電話がかかってきて、「あの場所が借りられなくなったので1カ月お休みします。」と伝えてきました。
「あの機械のおかげで腰がだいぶ楽になっているので、1カ月も受けられないととても腰が心配です。」と伝えると、「待ってました」とばかりに、「いつものあの機械の実機がありますがお求めになりますか?」と言われ数十万円の機械を買うことになってしまうのです。
 実はたいして効果もないものを、雰囲気で効果があると信じてこんでしまい、高い授業料を払わされてしまったのです。
 うまくやるやつがいますね。

電話でできる仕事

 今年になって特殊詐欺の拠点が海外にあり、捜査の手が及んで幹部が摘発され、事件の全容が少しずつ明るみに出て来ました。

 私が訪問リハビリで担当した利用者さんで、このような事件に「かけ子」として関与してしまった人がいました。
 私が担当するよりも以前のことで、担当してだいぶ経ってから担当のケアマネジャーさんから聞いて初めて知りました。
 利用者さんは脳卒中による片麻痺で、短下肢装具を装着して家の中をベッドからトイレまで4支点杖を使用したり回りの物につかまったりしながらやっと歩いている方です。
 そのような身体になって、それでも何か収入を得る方法はないかと探したときに、「電話1本で高額バイト」などというようなうたい文句の仕事を見つけて「これなら私にもできる」と飛びついてしまったようです。
 ある日突然首都圏から遠く離れた警察の刑事の訪問を受け、何が何だかわからないまま車いすの乗せられてその警察のある町まで連れて行かれ、収監されてしまったそうです。その地で裁判を受け、獄中生活を送ることになってしまいました。
 重い麻痺のある身体での獄中生活はさぞ不便だったことでしょうし、その収監者に対応することになった刑務官も経験がなく困ったことでしょう。
 世間馴れしていない人をおいしいことばで騙すことは、詐欺師にとってはお手の物なのでしょうから、騙されないようにこちらが気をつけなければいけないのですね。

駅のホームの高さ

 日本で鉄道を利用するとき、ホームの高さと車両の床の高さはどこでも同じになるように作られているので、日本人にとってはそれが当たり前で疑問を感じません。
 しかし世界では必ずしもそうではありません。
 ニューヨークやサンフランシスコで見た地下鉄は、ホームと車両の床の高さは同じでした。
 しかし旅行番組などで見るとアメリカやカナダの長距離列車の乗降場面では、地面に近い高さのホームから数段の段差を登って車両に乗り込みます。
 韓国でも地下鉄は日本と同様でしたが、「冬のソナタ」の中で見たソウル中央駅のホームは低く、段差を登って車両に乗り込む形でした。
 他の多くのアジアの国でも鉄道を利用する場面を見ていると、日本と同じようにはなっていない所の方が多かったように思います。
 それらの国や場所で、例えば車いす利用者が鉄道を利用する際には、それ用の介助の手が必要ということになります。

 日常生活動作(ADL)の概念も、国によって自ずから異なってくることになります。

BGM②

 病院では有線放送の会社と契約して全館にBGMを流しているところがあります。そのようなところではリハビリテーション室でもその音楽が聞こえます。
 私がリハビリ助手として働いた東京の病院では、当時全館の音楽はなく、先輩の理学療法士が持ってきたラジオで、FMのJーWAVEを仕事中いつも流していました。
 理学療法士の有資格者になって最初に就職した横浜の病院では、リハビリテーション室としての歴史が浅く、いろいろな設備もまだまだこれからの状態でBGMはまったく考えられておらず、私がラジカセを持ち込んで、先の病院の例にならってJーWAVEを流したり、NHKのクラシック番組を流したりしていました。
 そのうちにリハビリテーション室に合いそうな音楽を編集したカセットテープを作ってラジカセで流すようにしました。
 2~3本のカセットテープを繰り返して使っているとだんだん飽きてくるので、もっとたくさん編集したカセットを作り、それらをとっかえひっかえかけるようになりました。
 そのうちにCDラジカセを購入し、持ってきたCDや作成したCDを使うようになりました。

 リハビリを受ける患者さんに少しでも和んでいただきたくていろいろな音楽を流しましたが、だいぶ私の趣味に偏った音楽ばかり流していたなあと思います。音楽療法士のような専門家もいるくらいですから、どうしたらもっと効果的なBGMが流せたかもっと勉強して工夫してみたかったですね。

BGM①

 高校生の夏休み、耳鼻科の手術を受けるために川崎市内の大きな病院に入院しました。その病院では日中、院内に常時BGMがかかっていました。
 そこで聞いた軽やかなメロディーが印象に残り、曲名は知りませんでしたが、その後ずっと口ずさんでいました。

 この話を友人に話し、メロディーを口ずさんでみせると、彼は
「それはカーペンターズの『トップ・オブ・ザ・ワールド』という曲だよ。」と教えてくれ、レコードも貸してくれました。

 カーペンターズの曲からはアメリカの自由なイメージをかき立てられることが多く、それ以来すっかりカーペンターズのファンになりました。

 病院のBGMがこんなに影響を残すことがあります。

G7広島サミット

 私のマッサージ師養成学校での同級生に広島出身の理学療法士がいます。
 理学療法士としての経験に加え開業権のあるマッサージ師資格を取ったことで、広島市内で訪問マッサージ・リハビリ事業を立ち上げ、週7日間休むことなく朝から夜まで広島市内をバイクで駆け回っています。

 その彼がいま、仕事を休んで東京に来ています。
 広島では現在、世界の首脳が集まってG7サミットがおこなわれています。そのため広島市内では交通規制だらけで、ふだん歩いて数分で行かれるところもかなりの時間を要する状態になっていることを報道が伝えています。
 そのためか訪問事業は仕事にならないと考えたようで、この期間を休みにして東京に来ることにしたようです。
 彼の訪問を楽しみにしている利用者さんにとってはがっかりだったことでしょう。世界的な政治イベントも医療や介護の受益者にとっては残念な話なのでしょうね。

キャスター上げ②

 学校の先生が説く愛国心に共鳴してベトナム戦争に従軍し、脊髄に弾を受けて下半身不随になり、車いす生活の中で反戦活動家になっていく主人公をトムクルーズが演じたアメリカ映画「7月4日に生まれて」がテレビで放映され、久しぶりに見ました。
 同じような車いす生活の傷痍軍人が集まったパーティーで、車いす使用者たちが混雑したパーティー会場の中を、車いすの前輪(キャスター)を上げた状態(ウィリー)で移動しているのが目に止まりました。
 車いす使用者ではない俳優たちが演じているのですから、実際のパーディーでの様子を調べて、同じようになるように俳優たちはキャスター上げを練習したと思います。
キャスター上げ
 理学療法士は脊髄損傷の患者を担当したときに、患者が車いすで段差を上がれるようするために必要なスキルとして「キャスター上げ」を指導します。キャスター上げを指導できるようになるために理学療法士もキャスター上げを練習します。
 最初は後ろに倒れてしまうのではないかという恐怖感を味わいます。回りで見ている人も同じ心配をします。
 しかしいったん身についてしまうと、あまり後ろに転倒するような気はしません。方向転換などはむしろしやすいくらいです。
 だから映画に描かれた傷痍軍人のパーティーでも車いす利用者たちはキャスター上げのまま移動していたのだと思いました。 

インターン実習終了記念

 先日テレビの町歩きの番組で北千住の商店街が写し出されており、私が行った30年以上前とは当然のことながらずいぶん変わったなあと思いました。

 理学療法士養成校の最終学年でのインターン実習の1つは北千住に近い場所にある病院でした。
 インターン実習を無事合格できないと留年が確定し、次年度にもう一度最終学年を最初からおこなわなければならなくなります。実際私の同級生のうちの数人はインターン実習で不合格になり、残念なことに留年してしまいました。
 この北千住に近い病院での実習は私にとってはついていくのが精一杯の厳しい実習で、唯一自慢できるのは8週間の実習期間を1日も休まなかったことだけです。
 実習の最終日に合格がもらえたときは本当にほっとしました。
 何か自分にご褒美を出そうと北千住の商店街を歩き、1軒のレコード屋でCDを1枚購入することにしました。
 店員は私にその後もその店でCDを買ってもらおうと考え、「会員証をお作りしましょう。」と提案してきましたが、その日が北千住にかよう最終日でこれはその記念のCDなんだと伝え、会員証の作成をお断りしました。
 すると店員は「ではその分サービスしましょう。」と値段を少し値引いてくれました。店員さんのその温かい気持ちをありがたく思いました。
 北千住の忘れられない思い出です。

白衣の魔力

 理学療法士養成校の最終学年に3ヶ所行ったインターン実習の病院の1つは事務職員全員に白衣を着させていました。

 私が理学療法士の有資格者になって最初に入職した病院でも、(女子事務職員は事務服でしたが)男性の事務職員に白衣を着させていました。

 この当初の目的は、医療に携わる病院の職員としての自覚を持たせるというようなことだったと思うのですが、医師と同じような白衣を着ると何か勘違いを起こす人がいて、態度がだんだん尊大になっていたのは事実でした。廊下を歩くときなども、胸を反りかえらせて肩で風を切るような歩き方になっている人もいました。
 患者さんからもだんだん不評の声があがり、ついに男性事務職員は全員お揃いのブレザーを作ることになってしまいました。
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